中原中也
私の部屋の、窓越しに / みえるのは、エヤ・サイン / 輕くあがつた 二つの氣球
靑い空は金色に澄み、 / そこから茸の薰りは生れ、 / 娘は生れ夢も生れる。
でも、風は冷え、 / 街はいつたいに雨の翌日のやうで / はじめて紹介される人同志はなじまない。
誰もかも再會に懷しむ、 / あの貞順な奧さんも / 昔の喜びに笑ひいでる。
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