中原中也
A・O・に。
私の心の、『過去』の画面の、右の端には、
/
女の額の、大きい額のプロフィルがみえ、
/
それは、野兎色のラムプの光に仄照らされて、
/
嘲弄的な、その
その
讀者よ、これは、その性情の無辜のために、 / いためられ、弱くされて、それの個性は、 / それの個性の習慣を形づくるに至らなかつた、 / 一人の男の、かなしい心の、『過去』の画面、……
今宵も、心の、その画面の右の端には、 / その額、大きい額のプロフィルがみえ、 / 野兎色の、ラムプの光に仄照らされて、 / ラムプの焰の消長に、消長につれてゆすれてゐる。
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