中原中也
自分の感情に自分で作用される奴は
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なんとまあ 伽藍なんだ
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欲しくても
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取つてはならぬ氣もあります
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好きと嫌ひで生きてゐる女には
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一番明白なものが一番漠然たるものでした
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空想は植物性です
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女は空想なんです
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女の一生は空想と現實との間隙の辯解で一杯です
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取れといふ時は植物的な萎縮をし
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取らなくても好いといへば煩悶し
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取るなといへば鬪牛師の夫を夢みます
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それから次の日の夕方に何といひました
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「あなたはあたしを理解して呉れないからいや……」
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それから男の返事は如何でした
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「兎に角俺には何にも分らないよ――もつとお前盲目になつて呉れ……」
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「
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