亡き兒文也の靈に捧ぐ
中原中也
――「空しき秋」第十二
老いたる者をして靜謐の裡にあらしめよ / そは彼等こころゆくまで悔いんためなり
吾は悔いんことを欲す
/
こころゆくまで悔ゆるは洵に
あゝ はてしもなく涕かんことこそ望ましけれ
/
父も母も
或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
/
海の
あゝ 吾等怯懦のために長き間、いとも長き間
/
〔空しき秋二十數篇は散佚して今はなし。その第十二のみ、諸井 / 三郎の作曲によりて殘りしものなり。〕
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