中原中也
こんなに酷く後悔する自分を、 / それでも人は、苛めなければならないのか? / でもそれは、苛めるわけではないのか? / さうせざるを得ないといふのか?
人よ、君達は私の弱さを知らなさすぎる。 / 夜も眠れずに、自らを嘆くこの男を、 / 君達は知らないのだ、嘆きのために、 / 果物にもパンにももう飽かしめられたこの男を。
君達は知らないのだ、神のほか、地上にはもうよるべのない、 / 冬の夜は夜空のもとに目も耳もないこの悲しみを。 / それにしてもと私は思ふ、
この明瞭なことが、どうして君達には見えないのだらう? / どうしてだ?どうしてだ? / 君達は、自疑してるのだと私は思ふ……
かくは烈しく呻吟し / かくは間なくし罪つくる。 / 繰返せども返せども、 / つねに新し、たびたびに。
かくは烈しく呻吟し、 / などてはまたも繰返す? / かくはたびたび繰返し、 / などては進みもなきものか?
われとわが身にあらそへば / 人の喜び、悲しみも、 / ゼラチン透かし見るごとく / かなしくもまたおどけたり。
(一九二九・一・四)
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