山羊の歌

中原中也

少年時

寒い夜の自画像

きらびやかでもないけれど / この一本の手綱をはなさず / この陰暗の地域を過ぎる! / その志明らかなれば / 冬の夜を我は嘆かず / 人々の憔懆のみの愁しみや / 憧れに引廻される女等の鼻唄を / わが瑣細なる罰と感じ / そが、わが皮膚を刺すにまかす。

蹌踉めくままに靜もりを保ち、 / 聊かは儀文めいた心地をもつて / われはわが怠惰を諫める / 寒月の下を往きながら。

陽氣で、坦々として、而も己を賣らないことをと、 / わが魂の願ふことであつた!

目次

山羊の歌

  1. 初期詩篇
  2. 少年時
  3. みちこ
  4. 羊の歌

少年時

  1. 少年時
  2. 盲目の秋
  3. わが喫煙
  4. 妹 よ
  5. 寒い夜の自画像
  6. 木 蔭
  7. 失せし希望
  8. 心 象

このファイルについて

底本
中原中也「中原中也全集 第 1 巻」角川書店
1967 年 10 月 20 日 初版發行
1967 年 11 月 30 日 三版發行
中原中也「中原中也全集 第 2 巻」角川書店
1967 年 11 月 20 日 印刷發行
入力
イソムラ
2004-03-31T16:50:45+09:00 公開
2010-02-19T12:05:00+09:00 追加・修正
概要
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