1. monologue
  2. Other Stories
  3. チャイルドメイカー
  4. セットアップ

チャイルドメイカー

  1. 出会い、始まり
  2. セットアップ
  3. 現実的な
  4. 宅配便
  5. 助言
  6. 代償
  7. 電話の声
  8. 終わりの始まり
  9. おかしな噂
  10. 隠し事
  11. 忠告
  12. 幸せへ向けて
  13. 真相

セットアップ

『このソフトは、公式サイトにてバージョンアップが通達されています。パッチを今すぐダウンロードしますか?』
「バージョンアップ?」

ゲームをインストールして最初に出た画面がこれだった。どうやらこのソフトを作った会社が、公式サイトかどこかでパッチを無料配布しているらしかった。ゲーム中に何かバグでも見つかったのだろう。まともに遊べないかも知れないソフトを持っていても仕方がない、僕はすぐにパッチをダウンロードすることにした。

『ダウンロード中……しばらくお待ちください』
「しかし、こんなことは数年前じゃ考えられなかったよな。回収騒ぎにはならなかったのか?」

そんな騒動は全然記憶にないから、きっと大した問題にはならなかったのだろう。

『システムを最適化しています……』

やがて画面が真っ暗になり、どうやらゲームが始まったようだった。

『あなたの名字を入力してください : 』
「む、ら、い……と。名字なんか必要なのか?」
『あなたの名前を入力してください : 』

どうせ両方要求するんなら一度に済ませろよ、などと文句を言いながらも入力する。多少使い勝手が悪いのは少し前のソフトにはよくあることだ。

「ゆ、ず、る……と。次は何だ?」
『あなたの子供の性別と名前を入力してください : 』
「名前……か」

妻が連れて行った僕の娘は "亜理紗" という。フランス人形やアンティークドールなんかが好きな妻がつけた名前だ。僕はこのゲーム中の子供に、それをもじった名前を付けてやることにした。

「娘の名前は……アリス、と」

おとぎ話の主人公と同じでこじゃれた名前だし、少し洋風の名前の方がいいだろう、とも思った。名前を入力すると画面が明るくなり、一人の女の子の姿が映し出された。

「うわ……昔のゲームにしてはリアルだなぁ」

思わず僕は感嘆の声を漏らした。そして、ゲームはもう既に始まっていた。

To Be Continued