1. monologue
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  3. カウントゲーム
  4. 発見

カウントゲーム

  1. ゲーム開始
  2. 発見
  3. 68
  4. 気付いたときには
  5. 転送
  6. 消去不可
  7. 試み
  8. 悪く思わないで
  9. 救いの手
  10. 君のための努力
  11. 打開策
  12. 要求
  13. 勝利の代償
  14. 簡単なこと
  15. ゲームオーバー

発見

Day 1, AM 08:42 Chapter 1: 秋田 一輝

メールソフトの効果音が、新着メールのあることを告げた。

「渡辺から? 何だろう」

新着メールは二通あった。そのうちの一通は謝罪のような文面のメールで、残りの一通は奇妙な文面のメールだった。

「……ゲーム?」

その奇妙な方のメールには、そのゲームが時限式のものであること、一定の条件でゲームの終わりが早まること、ゲームが終わった時点でメールが手元に残ってしまった場合、罰ゲームを受けなければならないこと、と、大体そのようなことが書いてあった。

「何だ? 転送して遊ぶゲームだ、っていうのか?」

新手のチェーンメールか、広告業者が考え出した新しいスパムメールか。どちらにしてもあまり気分のいいものではなかった。

「で、もう一通は」

もう一通のメールには、平謝りの文と、奇妙な方のメールに関することが書いてあった。

「転送……ゲーム……都市伝説? バッカじゃねぇの渡辺のやつ」

その謝罪のメールは、まるで子供向けの駄菓子についてくる玩具のような、文字通り子供だましの下手くそなおまけのようだった。安っぽいチェーンメールで生み出させた小さな感情を、何とか必死に煽ろうとしているようにしか見えなかった。

「バカバカしい。作り込んだメールだとか思った自分が情けないな」

そんなに気持ちが悪いってんなら、本人に送り返してやろう。そう思って転送のボタンにカーソルを合わせたとき、PC のデスクトップに常駐させている時計が目に入った。時間は、いつも乗るバスの発車時刻に迫っていた。

「しまった、こんなことしてる場合じゃない」

遅刻してまで付き合うような遊びでもない、そう心の中でつぶやく。

「カウントダウンってか? バカバカしい。数値がなくなったらどうなるっていうんだか」

吐き捨てるようにつぶやいて部屋を出る。PC の電源はつけっぱなしにしたままだった。メールソフトの画面に浮かんだメッセージ、数値は 68 を示していた。この数値がメール到着時よりも少なくなっていることに、彼は気付くはずもなかった。

To Be Continued