monologue : Other Stories.

Other Stories

機械の命 : 7/7

三ヵ月後、ハジメの祖父から急に電話があって、彼は矢継ぎ早に言った。

「ロボット協会への抗議文が受諾されてな、チェック項目が大幅に改正されることになった」

ハジメは言葉の意味がわからずに首をかしげていた。電話のモニタの向こうで、祖父も同じような困った顔をしてみせた。

「ああ、わかりやすく言うとな、間違いを直す努力をすることになったんだ」
「それで、"かいせい" をしてからどうなるの?」
「さあどうなるかはまだ……ただ、ロボットが」

そこで一度言葉を切って、彼はもう一度同じことを言った。何かを強調したいときのヒトの癖だ。

「ただ、ロボットがもっと人間に近くなるかも知れない」

それを聞いてハジメは僕を見た。そして電話のモニタに向かって、満面の笑みでこう言った。

「なんだおじいちゃん、そんなこと?」
「そんなことって、お前……」
「おくれてるなあ、おじいちゃんは」

そう言ってハジメは、もう一度僕を見て笑った。

Fin.

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